「小木土家」の空気環境測定を行いました。
空気環境測定とは、ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性化学物質(VOC)の室内濃度を測定することです。シックハウス症候群の原因となるVOCは建材や家具などの接着剤や塗料に主に含まれていて、高濃度に汚染された空気を長時間に渡って吸入すると、頭痛や吐き気、めまいを引き起こすとされています。そのため、2003年に改正された建築基準法では、「ホルムアルデヒドを発散する建材の使用制限」や「24時間換気の義務付け」などが新たに加わり、VOCの室内濃度が厚生労働省の指針値を超えないような対策が取られています。
しかし、いくら換気しているからとはいえ、VOCが揮発していることには変わりなく、特に揮発濃度の濃い新築後5年間というのは、子供のいる家庭にとっては、小さな子供が家で過ごす時間の長い時期で、外より室内の空気のほうが汚れているというのは、せっかくの新しい家なのにとても残念なことです。
そこで、「小木土家」では以下のような対策をとりました。
・木材には集成材を使わず、無垢の木を使用(集成材には大量の接着剤が使われています)
・壁には、混ぜ物なしの、純粋な土壁を使用・断熱材は、ポリエステル100%のパーフェクトバリアを使用
・防蟻材は、揮発のないホウ酸を原料としたものを使用
(農薬系の防蟻材は壁内で揮発したものが換気によって逆に室内に流入しているので注意が必要です)
・システムキッチンや量販店の家具は使わず、無垢の木を使ったオーダーメイドの家具を使用
今回の測定では、最もVOCの濃度が高い時期を狙って、家具なども揃った新築後半年で、気温も上がってきた6月に行い、あえて換気設備を全て止め、締め切った状態で、測定しました(通常は換気しながら測定します)。結果、測定した7種のVOCで、6種が指針値の1/10未満、アセトアルデヒドが1/5という結果でした。
ここで、アセトアルデヒドが微量に検出されていますが、これは無垢の木から発生したものだと考えています。実は無垢の木からも微量ですが、アセトアルデヒドが発生しています。また、お酒を飲むと体内でアルコールがアセトアルデヒドになる(二日酔いの原因と言われています)ので、人から発生したものもあると思います。
自然のものにこだわって住まいづくりをする一番の目的は快適で安心な住まいをつくることで、今回の測定結果は、「小木土家」の設計から施工までの間、目標としてきたもので、良い結果にとても満足しています。接着剤を大量に使った家を高気密で作って、24時間換気しないと住めないというのはどても不合理で、また、せっかく断熱材を入れても0.5回/時の換気というのは、かなり熱をロスしています。熱交換型の換気扇もありますが、湿度は交換しないので、夏は除湿した室内に湿気を取り込み、冬は加湿した室内に乾燥した空気を取り込むので、日本の気候にはあまりあっていません。普通に生活していれば、人の出入りや、キッチン、トイレ、洗面室の換気などでも十分換気できています。
24時間換気はすべての住宅で義務だったりと、日本の風土にあった日本らしい住まいづくりをしているのに、法律が逆に足かせのようになり、難しい部分もありますが、そんな中でも方法はいろいろとあって、皆さんに関心を持っていただいて、少しずつでも良い方向に変わっていくことを願っています。