伝統構法「木と土の家」の住まいづくり。第7回は「伝統構法の建前」です。
伝統構法の建前の特徴は「貫で柱をつなぐこと」、「長ホゾ込み栓差し」、桁と梁の高さをずらす「折置き組」です。木を傷つけないように「手起こし」(人力)で組立てました。木の靭性を生かすようにカケヤで少しずつ締め固めていきます。
建前から屋根仕舞いまで大工7人学生2人で2日かかりました。2日目は少雨の中での作業で撮影できなかったので、1階部分の組立てが主な内容となっています。
ボルトで固める在来工法とは違う、伝統構法の木組みのコツや魅力が少しでも伝わればうれしいです。
【みくまりの家】
木小舞下地が完成して、土壁塗りが始まりました。今日はお施主様ご家族と土壁塗り体験をしました。最初は土の重みと粘りに苦戦しますが、だんだんコツがわかると楽しくなります。この土の感触、香りを直に体験してもらうことが土の良さを知ってもらうには一番だと思っています。
土には藁を混ぜて寝かせてあるので、納豆と同じように発酵して、粘りが出ます。このネバネバが家と体に良いんです。ボードとビニールで壁を作りより、小舞と土で壁を作れば、シックハウスの心配をせずに安心して暮らせます。調湿機能も抜群なので、日本の気候にあった快適な住まいになります。
広島にはとても良い土壁屋さんがいるので、頼めば配合して寝かせた土をダンプで運んでくれます。少しコツをつかめば誰でも塗れるようになるし、安全な素材なのでDIYにも向いてます。
これからはもっと住まいづくりに土を使うと良いと思います。おすすめは土壁の外に断熱材を入れることです。わからないことは聞いてもらえれば。ぜひ挑戦してみてください。
伝統構法「木と土の家」の住まいづくり。第6回は「基礎コンクリート一体打ち」です。
基礎の強度、防水性、防蟻性を高めるために、土間と外部立上りを一体で打ちます。蟻道になるので化粧モルタルなしでコンクリート打ち放し仕上げ、天端レベラーも同じくなしで金ゴテ仕上げです。
シームレスなコンクリートの器が安心・安全な暮らしを支えます。
明けましておめでとうございます。
写真は昨年完成した「祇園の家」。砂漆喰と杉板で仕上げた外観です。自然のもので仕上げた外観は時の経過とともに美しく変化します。これを「経年美化」と呼びます。漆喰と杉板の外壁なら30年以上ノーメンテで大丈夫なので、これからどのように成長していくのか楽しみです。
時と共に美しくなっていくような住まいづくりを今年も続けていきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い致します。
伝統構法「木と土の家」の住まいづくり。第4回は「通柱の墨付け、超仕上げ」です。
墨付けで一番難しい通柱。今回はそんな通柱の墨付けから、超仕上げの様子までをまとめました。
【みくまりの家】
伝統構法「木と土の家」の住まいづくりの様子をシリーズで発信していきます。第1回は墨付けを始める前につくる「1/30の軸組模型づくり」です。
墨付けの予行演習にもなるので、実際の墨付けと同様に1/30の「尺杖」を作って、模型づくりを進めていきます。墨付けのときはこの模型を使い、立体的に見ながら木の組み方などを決めていきます。
これから自然の素材を使った手作りの住まいづくりをできるだけくわしく伝えていきたいと思います。
【みくまりの家】
この夏、工事開始予定の「木と土の家」。
計画が進行中です。
ご夫婦と3姉妹のための住まい。
写真はスタディのために作った1/100模型。
全体的なバランスの確認や、実際の暮らし方を想像してもらうために作ります。
身近な自然の素材を使った素朴な住まいなので、その雰囲気が伝わるといいなと思います。
もともと自宅でデスクワークをしてきたので、これから本格的にリモートワークを検討されている方に、おススメ紹介します。
日中はできるだけ外で仕事して、デスクワークは帰宅して自宅でしてますが、打合せなどのために持ち出すことも多いので、これまでノートPCをメインに仕事してました。ただどうしてもCAD作業やマルチタスクをしようとすると画面が小さく仕事しずらかったです。デスクトップの購入も考えましたが、PC2台を使い分けるのもデータの管理やそれぞれにソフトなどそろえなくてはいけないなど面倒そうでした。
いろいろ試しながら、現在は写真のようなスタイル。ノートPCをメイン機にして、ディスプレイとキーボードで機能を拡張、ノートPCのディスプレイをサブとして利用しています。
この環境で特におススメしたいのが、USB-Cで給電可能なディスプレイ。USB-CケーブルでノートPCとディスプレイをつなぐだけで、ノートPCからの映像出力とディスプレイからノートPCへの給電が同時にできます。つまり、ケーブル1本つなぐだけでいいので、机の上がすっきりするのはもちろんですが、机の下にノートPC用の大きなACアダプターも必要なくなります。また、ケーブルを抜くだけで外に持ち出すことができます。
それとディスプレイを4Kにすることで(ノートPCも4Kのものがあります)、紙に出力するより画面のほうがきれいなので、図面のチェックなど紙に出力することがかなり減らすことができます。またドット感がないので見やすく作業に集中できます。一度4Kを使うと元には戻れません(笑)。
働き方がさらに多様化する中、自分に合ったスタイルを見つけることが大事だと思います。在宅勤務など検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
外出自粛要請で、娘のバレエも自宅でオンラインレッスンとなりました。
これからはこういう光景が普通になるのかもしれませんね(笑)。
親としては普段見れない様子が見れて良かったです。
ワークショップ「き」組が東京で開催している「木組のデザイン」ゼミナールにて、1コマ講座を担当させていただくことになりました。理論講座「木組の家の実践」ということで、伝統の木組と土壁を活かしつつ、高い省エネ性能を実現した「小木土家」の設計施工手法を中心に、なぜ伝統構法の住まいがこれからの日本に必要なのか、理論・思想を総括し、ここでお話ししたいと思います。
ゼミは17期を迎え、伝統構法の木組を学ぶため全国から建築の実務者の方々が集まっています。日本の木組の特徴は、木の靭性を活かした粘り強い構造形式にあります。大きな地震が起きたときに変形し、エネルギーを吸収、減衰させていく仕組みです。脆性破壊を起こしにくい構造ともいえます。なぜ日本では長い歴史の中でそのような構法にたどり着いたのか、それは自然のチカラに抗うのではなく、命を守ること、つまり生存空間の確保を最優先にした結果だと思います。
大学などでも在来工法を少し教えるくらいで、日本の伝統構法を教えることはほとんどありません。木造をよくわからないまま、設計の実務をこなしている方も多いのではと思います。こういった場でじっくりと日本の木造建築について学んでみてはいかがでしょうか。詳しい内容や申し込みは下記サイトからどうぞ。
一般社団法人ワークショップ「き」組HP 募集「木組のデザイン」ゼミナール第17期
明けましておめでとうございます!
写真は、昨年「木の建築賞」授賞式参加のため、家族で東京旅行したときの一枚。これまで取り組んできたことを評価していただき、賞を受賞できたことは、とても嬉しい出来事でした。
そして、春からは「小木土家」をモデルにした「祇園の家」を作ってきました。年末に引越しが済み、自分の作った住まいで子供が無邪気に笑い、歌ってる様子を見ると1年頑張ってきたことが報われるようで、これからも豊かな暮らしのできる住まいづくりで、家族を幸せにできるような仕事をしていきたいと思いました。
課題や迷いも多いですが、自分なりに一つずつ取り組んでいきたいと思いますので、今年も変わらぬお付き合いをどうぞよろしくお願い致します。
【祇園の家、内覧会のお知らせ】
祇園の家が完成間近となりました。施主のご厚意で下記日程にて内覧会を開催させていただくことになりましたので、お知らせします。ご希望の方は電話、メール、メッセージなどでお名前、人数、ご希望の時間帯を添えてお申込みください。
日時:2019年12月8日(日) 10時~15時
場所:広島市安佐南区祇園 JR古市橋駅徒歩5分(詳しい場所は申込み後ご連絡致します。)
※駐車場はありませんので、お車の場合は近くのコインパーキングに留めてお越しください。
連絡先:tel / 082-554-7540, E-mail / sasaoka@sasaoka-k.com
2015年に国連で決められた「2030SDGs」(持続可能な開発目標)では、持続可能な社会を目指して17の目標が掲げられました。自分の住まいが何で出来ているのか、「木」だと思っていたものが、本当はビニール製ということはよくあります。SDGsから住まいづくりを見直すと表層的な外見だけでなく、そのマテリアルフローから、社会全体のネットワークを見直す必要があります。持続可能な社会を目指す上で課題は様々で、それら多元方程式を解く一つのカタチとして、「小木土家」は2030年のスタンダードを目指しています。素朴な木と土の器での豊かな暮らしを体験していただき、これからの住まいづくりを考える機会になれば幸いです。
■「祇園の家」でのSDGsに向けての主な取組み
・国産の無垢材や土など自然素材を材料として使う。→目標12. 持続可能な生産消費形態を確保
・次世代省エネ基準をクリア、ゼロエネ相当。→目標7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
・日本の気候に合った室内環境で、家族の健康を守る。→目標3.すべての人に健康と福祉を
【祇園の家】
外壁に砂漆喰下塗り中です。
木ずり下地に砂漆喰を塗り込んでいきます。
モルタル下地よりシンプルで良いですね。
【祇園の家】
木小舞が完成しました。これからいよいよ土壁塗りが始まります。
土壁塗りの見学会、体験会を下記の日程で開催しますので、興味のある方は是非ご参加ください。
参加費無料です。電話、メール、メッセージなどで申込みをお願い致します。
日時:2019年9月1日(日)10時から12時
場所:祇園の家(古市橋駅から徒歩5分ほど)
駐車場はありませんので、お車でお越しの場合はコインパーキングをご利用ください。
土壁塗り体験は定員8名ほど、汚れても良い服装でお越しください。お子さんも参加できます。
生の土の感触や香りをぜひ体験してみてください。
参考動画 小さな木と土の家 納戸の土壁塗り (僕が自宅納戸を塗ってます。)
【祇園の家 建前のお知らせ】
祇園の家の建前を7月の25、26日に予定してます。伝統構法の木組みを手起こしにて組立ます。応援して頂ける大工さんをあと1〜2名募集してますので、参加希望の方は是非ご応募下さい。
また見学希望の方は、メッセージ、コメント下さい。詳しい場所などご連絡致します。古市橋駅から徒歩5分です。住宅街で駐車場はありませんので、できるだけ公共交通機関でお越し頂ければと思います。
建前のハイライトはスタートダッシュ、25日の8時から10時です。
伝統構法の特徴は、木の柔らかさ、柔軟性を生かして、人命第一に建物の倒壊を防ぐ工夫にあります。そういった木の特性を感じるには建前に参加、見学して頂くのが一番です。現代では貴重な機会を出来るだけ多くの方と共有したいと思います。
「第14回木の建築賞」で「小さな木と土の家」が「木の住宅賞」を受賞し、東京大学弥生講堂にて表彰式が開催されました。
せっかくの東京ということで、旅行をかねて家族で参加させていただき、子供たちにとっても良い思い出となりました。
「木の建築賞」はNPO木の建築フォラム主催で、「いま、求められる木の建築・活動とは」というテーマで選考されていて、これからの未来に向けて伝統の木の住まいとはどういったものか、大工として自分にできることは何なのか、といったことを考えながら、計画、建築してきた「小さな木と土の家」を、建築の過程やコンセプト、デザインをまとめるといった意味で、応募しました。
荒削り、不十分な部分も多々ありましたが、これからの建築としてのポテンシャルを評価していただけたのでないかと思っていて、今回の受賞を励みにこれからさらに「小木土家」を発展、展開させていけたらと思っています。
審査結果発表はこちら→ 第14回木の建築賞
「小さな木と土の家」についてはこちら→ MODEL 小さな木と土の家
第14回木の建築賞にて、「小さな木と土の家」が「木の建築賞(木の住宅賞)」を受賞しました。
昨年のエントリーから、1次書類選考、2次公開プレゼン、3次現地審査と、厳正な審査過程でしたが、小さな住まいをしっかりと評価していただけてとても嬉しく思っています。
「小木土家」を計画、建築するにあたって、様々な課題や問題にぶつかりましたが、一つ一つ解決していく中で、たくさんの発見やアイデアが生まれました。そして、これからの住まいってどんなのが良いんだろうと考えていく中で、ひとつのカタチとしてまとめることが出来たのでは思い、そういった背景やプロセスも含めて、今回発表させていただきました。
初めての試みも多くご支援、ご協力していただいた皆様には本当に感謝しています。誠にありがとうございました。「小木土家」で暮らして2年半となりますが、共に暮らす家族の笑顔がなによりも今、自信となっています。
今回の受賞を励みにするとともに、この賞に恥じないように、これからもコツコツと目の前の仕事に取り組んでいきたいと思います。
【祇園の家】
地元の安神社様により、地鎮祭が執り行われました。
お日柄、天気ともにとても良く、青空がとても清々しかったです。
これからいよいよという気持ちをみんなで共有できる良い機会となり、棟梁としても、より一層気が引き締まりました。
【小さな木と土の家】
増築中の納戸に土壁を塗りました。
上手く塗れるようになってくると楽しくなりますが、一枚塗り終えると腕が上がらなくなります。
納戸なので中塗りせず、このまま乾燥させて荒壁仕上げにしたいと思います。
また完成したら報告します。
本日より6日まで「木と土の建築」開催中です。
日時:11月1日(木)~11月6日(火)10:00~17:00 入場無料
場所:TOTO広島ショールーム1Fイベントスペース 〒731-0014 広島市南区宇品西4丁目1-36 駐車場あり
ギャラリートーク:11月3日(土)13:30~14:30 申込不要
空間展示、模型、図面、スケッチ、写真、映像など、広島に戻ってから6年間の活動をまとめました。3日のギャラリートークでは、大学からこれまでの活動を振り返りながら、発表させていただきます。
とても良い機会を与えていただき、精一杯表現させていただきました。
ぜひ皆さまお立ち寄りください。
「小さな木と土の家」の昨年1年分の電気料金の明細を公開します。
1月9,884円、2月14,268円、3月17,853円、4月17,398円、5月8,717円、6月6,966円、7月7,495円、8月8,946円、9月8,032円、10月7,777円、11月8,433円、12月11,726円で、合計127,495円でした。一月あたりに換算すると10,625円/月です。
オール電化住宅で、ガスや灯油、薪などは一切使っていないので、電気代がそのまま「小木土家」の年間光熱費となります。食器洗い乾燥器、洗濯乾燥機は毎日1回以上使っていて、月々1万円ちょっとの電気代で納まっているので、とても良い結果だと思います。
4月の電気代が高いような気がするので、もう少し節約すれば、1万円を切ることも可能ではないかと思っています。
来月からは、太陽光発電が稼働するので、純粋な電気代は計算しづらくなるのですが、また発電についても報告します。
ひろしま住まいづくりコンクール2017にて「小さな木と土の家」が広島県知事賞を受賞しました。
昨年の11月の現地審査で、審査委員の方々に実際に我が家を見ていただき、今回のような最高の評価をしていただけたことをとてもうれしく思っています。
初めての試みもたくさんありましたが、結果、うまく出来たんじゃないかと思い、このコンクールを発表の場としました。「小木土家」で考えたこと、経験したこと、出来て感じたことなどまとめました。応募資料を上に載せていますので、ぜひご覧ください。
今回の住まいづくりでは、たくさんの人に協力していただき、本当にありがとうございました。これからも良い住まい、豊かな暮らしを提案していきたいと思います。
広島県の審査結果発表はこちら→ 「ひろしま住まいづくりコンクール2017」審査結果
価格や仕様はこちら→ MODEL 小さな木と土の家